2030年義務化の「ZEH住宅」について|岩手県のZEH補助金制度も解説!

2024.09.06

 

ZEH(ゼッチ)という言葉をご存知ですか?家づくりを検討している人の中には、耳にしたことがある人もいるかもしれません。簡単に説明すると、ZEHは省エネ住宅の一種です。
今回の記事では、ZEHの定義や要件、メリット・デメリット、岩手県のZEH補助金制度までわかりやすく解説します。今後の家づくりに大きく関わる内容ですので、しっかり理解しておきましょう。

 

省エネ化を目指すなら「ZEH」

日本政府が「2050年カーボンニュートラルを目指す」と宣言したことによって、新築住宅の省エネ化が加速しており「ZEH住宅」が注目されています。そもそも、ZEHとは、どのような意味なのでしょうか。まずは、ZEHの定義について確認していきます。

・ZEHとは(定性的な定義)

ZEHとは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一時エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」とする。

引用:資源エネルギー庁 ZEHの定義(改訂版)〈戸建住宅〉

ZEHは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略語。簡単に説明すると、「住まいの断熱性能や省エネ性能を向上させて、さらに太陽光発電等を用いて家庭でエネルギーを創り出すことで、年間の一時消費エネルギーをおおむねゼロにすることを目指しましょう」という政策です。ZEHへの取り組みは、今後ますます加速すると言われており、2030年にはZEH水準の省エネ基準(断熱性能)が義務化される予定です。そのため、2025年以降に家づくりをする場合は、ZEH基準で設計したり、ZEH住宅が建築できる工務店やハウスメーカーを選んだりする必要が出てくるでしょう。ZEHの義務化については、次の章でより詳しく解説していきます。

 

2030年にはZEH基準が義務化される!

近年、世界中でカーボンニュートラルや脱炭素に向けた活動が行われています。日本の住宅の省エネ基準(断熱性能)は1980年に制定され、それ以降時代に合わせて改定されています。「省エネ基準の義務化」や「ZEH基準の義務化」もその一つ。今回の改定の流れは、2025年4月以降全ての建築物に「省エネ基準」の適合が義務化となり、2030年度以降は義務化する基準を「ZEH基準」に段階的に引き上げるというものです。

ZEH基準の家は住宅性能が高く、生活する上でメリットが多いとされていますが、少なからずデメリットも考えられます。これから家づくりを計画している人は、ZEH基準の影響を受けやすいため、しっかり理解しておくことが重要です。ここからは、ZEH基準を満たす要件、ZEH基準のメリット・デメリット、補助金などについて解説します。

 

ZEHの3つの要件

先述しましたが、ZEHとは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略語です。さらにZEH住宅とは、省エネと創エネを組み合わせて、住宅の一時消費エネルギー量が実質ゼロ以下を目指す住宅を指します。ZEHの認証を取得するためには、断熱・省エネ・創エネという3つの基準があり、それぞれの基準値を満たさなければなりません。

断熱性能の基準

ZEH認証を取得するために必要な基準の一つに「断熱性能」があります。断熱性能が高い住宅は、室内の温度が外気の影響を受けにくいため、冷暖房を効率よく使用することができます。なお、断熱性はエリアでUA値の基準が分かれているため、以下の地域区分のUA値を満たす必要があります。UA値(外皮平均熱貫流率)が低いほど断熱性能が高いことを表しています。岩手県も該当しますが、東北地方の寒い地域では、その他のエリアに比べて高い断熱性能が求められているため厳しい基準が設けられています。

省エネ性能の基準

省エネ性能は、家庭で使用する一次エネルギーの消費量の削減を目的としており、以下の条件を満たす必要があります。

  • 太陽光など創エネルギー設備を除く場合:再生可能エネルギーなどを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減
  • 太陽光など創エネルギー設備を含む場合:再生可能エネルギーなどを除き、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減

一次エネルギーとは、原油、石炭、天然ガス、太陽熱などの加工されていないエネルギーのことで、家庭では空調設備、換気設備、照明、給湯設備が該当します。ZEH認証を取得するためには、エネルギー効率の良い設備を導入し、一次エネルギー消費量を減らす必要があります。

 

創エネルギーの基準

創エネルギー基準は、簡単に言うと太陽光発電の導入です。太陽光発電は発電と同時に消費しなければいけないので、余った電気は売電されます。しかし売電の固定価格買取制度(FIT)は10年と定められており、その後は売電できるかもわかりません。そのため、太陽光発電とあわせて蓄電池を採用することで、災害時の備えや毎月の光熱費の削減につながります。

 

ZEH基準のメリット・デメリット

ZEH基準の義務化で考えられるメリット・デメリットについて確認しておきましょう。

メリット

ZEH基準のメリットは、以下の通りです。

  • 光熱費の削減になる 
  • 健康的で快適な生活が送れる
  • 資産価値が上がる
  • 災害時に電力を備えておける
  • 補助金が利用できる

エネルギー価格が高騰している中、光熱費が削減できるのは家庭にとって大きなメリットとなるでしょう。また、断熱性能に優れているため、病気のリスクが低減でき、一年中快適な生活が実現します。今後は断熱性能に優れた家が義務基準となるため、省エネ化されていない家の資産価値を維持するのは難しいと考えられます。一方、ZEH基準を満たしている家は、売却する際や相続する際も資産価値が高く、将来の選択肢が広がるでしょう。ZEH基準を満たすためには導入費用やコストがかかりますが、補助金などを上手く利用することでコストを抑えることができます。

デメリット

つぎに、デメリットを見ていきましょう。 

  • 導入費用や設備メンテナンス費用がかかる
  • 間取りやデザインに制限が出る可能性がある
  • 天候によって発電量が左右される

 

ZEH住宅では、太陽光発電や省エネ設備を導入するため、一般住宅に比べて初期費用が高くなります。さらに、これらの設備を維持していくためには、定期的なメンテナンスが必要です。多くの設備を設置することになるため、間取りやデザインが制限される可能性も。

なお、太陽光発電を設置する場合は、天候によって発電量が左右されます。岩手県でも降雪量が多い地域では、冬の間発電量が少なくなる可能性があるため注意が必要です。

 

岩手県のZEH補助金について

岩手県では、令和6年度「いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助金」として、県内の省エネ性の高い新築住宅建設への取り組みを支援しています。補助金の概要については以下の通りです。

  • 1.受付期間:令和6年6月10日~令和6年12月13日
  • 2.補助事業社:新築戸建住宅の建築主等
  • 3.対象となる住宅:補助事業者が常時居住する専用住宅
  • 4.募集戸数:15戸
  • 5.補助対象住宅の要件
  • 1.建設業者は岩手型住宅賛同事業者又は岩手県地域型復興住宅地域住宅生産者グループの登録事業者であること
  • 2.県産木材を5㎡以上使用すること
  • 3.要綱別表第1に定めるZEHを上回る基準に掲げるいずれかの種別の要件を満たすこと
  • 4.ZEHを上回る基準であることを示す証書を取得すること
  • 5.要綱別表第2に掲げる要件を満たすこと
  • 6.建設現場見学会等を実施すること
  • 7.気密工事の完了後、気密性能試験を実施し、相当隙間面積(C値)1.0平方センチメートル/平方メートルを満たすこと
  • 8.遵守事項に関する確認書の内容を理解した上で補助金を申請すること

 6.補助対象事業及び補助額

補助額の最大→断熱等性能等級6等を選択する場合(1)+(3)+(4)+(5):1,773千円
断熱等性能等級7等を選択する場合(2)+(3)+(4)+(5):2,573千円

7.申請書類
内容については、チェックリスト、要綱別表第4、要領第4をご確認ください。
申請書類は計2部ご提出ください。(ただし、1部は写しを可とします。)

8.書類の提出及びお問い合わせ先
一般財団法人岩手県建築住宅センター
〒020-0045 岩手県盛岡市盛岡駅西通1-7-1 電話番号:019-623-4420

引用:岩手県 令和6年「いわて省エネルギー住宅建設推進事業補助金」(いわてZEH+住宅等普及促進事業費のうち新築向け

 

なお、補助金については年度ごとに条件等が変わることがあるため、現況と異なる場合があります。詳しい情報につきましては、市町村のホームページをご確認ください。

 

ZEH住宅を建てられる工務店を選ぼう

これまでZEH住宅の要件やメリット・デメリット、補助金などについて解説してきましたが、ZEH住宅は経済産業省管轄のZEHビルダー登録業者のみ建築できます。全ての工務店でZEH住宅が建てられるわけではないため注意が必要です。気になる工務店やハウスメーカーがあれば、事前にZEH住宅ビルダー登録について確認してみると良いでしょう。

 

まとめ

今回は、2030年に義務化が発表されているZEH住宅について解説しました。

住宅性能に関する内容は、難しいと感じる方も多いですが、ZEH住宅は日本の新築住宅でスタンダードになっていくことが想定されます。間近に迫る2030年に向けて、ZEHの内容をしっかりと理解し、後悔のない選択をすることが重要です。

また、岩手県のZEH補助金については、随時内容が変更となる可能性があります。受付期間が設けられているため、気になる方はお早めにご確認ください。

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