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#みんなが教えてくれない大事な事
住まいの寿命について(ソフト的な寿命)
2023年08月04日
前回は住まいの寿命について、建物側から見てみました。
今回はソフト的な面から見てみる事にしましょう。
まずは結論から
構造躯体をしっかり作り込み、内部は自分たちの都合に合わせて変化させる
と寿命が長くなります。
室内に可変性を持たせて自由度を高くすれば、いつまで経っても使えるという事ですね!
ではひとつずつ見ていくことにします。

住まいは長い期間使うからこそ、私たちのライフスタイルの変化に大きく関わってきます。
・家族間での関わり方
・家族の増減
・体力の衰え
・賃貸~売却
などですね。
家族が増えたので住まいを検討する方も多いことでしょう。
・将来の事を考えて子供部屋が欲しい
・家族がいつも顔を合わせられるようにリビング階段にしたい
など希望も多くなると思います。
そこで自分たちの過去を振り返ってみて、自分たちが望む子供たちの姿よりも、自分たちが子供の頃に感じた事を優先に住まい計画を組み立てていくと良いでしょう。
・自分の部屋で勉強するより、リビングで勉強してたな・・・
・家族と顔を合わせるのが嫌で、すぐに自分の部屋に戻っていったな・・・
など自分たちが持つ子供たちへの期待がもし自分たちに向けられていたら?と考えてみましょう。
そうすると意外と個別の子供部屋やリビング階段は不要では?となることも多いです。
そしてその子供たちもいつか独立していくことでしょう。
意外と子供がそばにいる期間は短いものです。
結果的に子供部屋は空き部屋となってしまいますね。
趣味の部屋に転用したり、壁を抜いて大きな空間にしたりと別の用途に用いてみるのもよいでしょう。
また同居し続ける場合もありますので、それに対応する必要もありそうです。

そして歳を取るにつれて体力の衰えを感じるようになり、階段を登るのも大変になってきます。
杖を使ったり、足が上がらなくなったりもします。
そう考えると1階で全てが完結する住まいの方が、わざわざお金を掛けてリフォームする必要が無さそうですね。
平屋が良い理由でもあります。
また段差以外にも手摺を取り付ける位置やドアの開閉方法なども要注意です。
生活動線も大丈夫でしょうか?
その場限りのおしゃれさに惑わされて将来を見ていないと、大規模リフォームで大きなお金が飛んで行くこともあります。

あまり考えたくはない内容ですが、将来的に賃貸に出す事や売却することもあるでしょう。
そのまま売れれば御の字ですが、新築時にこだわった部分が仇となることも見られます。
何を優先して住まいを計画するかは人それぞれなので、必ず優先順位を家族で話し合って決めるとよいでしょう。
当方では、住まいを生活の舞台として大いに活用して頂き、貴重な家族との時間を大切に過ごして欲しいと考えています。
色々とありましたが、住まいは可変性に富んでいると長く使う事が出来ます。
建築では「スケルトンインフィル」という考え方がありますが、外回りと内回りを分けて考えてみると住まいを末永く活用する事が出来ます。
海外ではまさにその考え方で、インフィル(内部)は常にリフォームを繰り返しながら使われ続けています。
・構造躯体、断熱性能、気密性能などの外回りはしっかり作る。
・室内は変えやすいように作る。
・1階で生活が完結するように作る
・賃貸売却の際に困らないように作る
この辺りに気を付けながら住まいの計画をすると、長期的に見てもライフスタイルによる変化での出費が抑えられ、住まいを長期間にわたり活用できると考えます。
ぜひ住まいづくりの際には、様々な視点から計画内容を見つめてみて下さい。
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