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#みんなが教えてくれない大事な事
太陽光発電システムは採用するべきか?やめるべきか?
2023年08月08日
冬に雪の積もる岩手県では、太陽光発電システムの導入について迷うことが多いと思います。
「導入したほうが良い」「導入しないほうが良い」と住宅会社でも意見が分かれるところです。
ではどっちが実際に良いのでしょうか?

まずは結論から、
「太陽光発電システムは導入したほうが良いです」
全体的に影響しない詳しい数値は省きながら、色々な側面から見ていきましょう。
まず太陽光発電システムというものを知りましょう。
単純に「太陽の日射を電気に変えるシステム」と考えて頂いて良いと思います。
だから太陽の出ていない夜は発電しません(「なぜ夜に発電しないのか」と何度も質問を受けたことがあります)。
また太陽光であって太陽熱ではない為、暑い時期にはパネルの発電効率が低下して発電量が低下します。
一番発電量が多いのは、日射量の多い5月~6月です。
パネルに積雪があると一部回路が発電停止して発電量が減ります。
また積雪1mを超えるとパネルが破損する恐れがあるため、雪が落ちやすいように表面加工されています。
一部に影が掛かっていてもその回路で発電を停止することがあります。
回路ごとに発電するしないがあるので要注意です。
発電した電気は直流の為、パワーコンディショナーという機械で交流に変換します。
このパワーコンディショナーは常に動いているため故障しやすいです。
寿命は10年~15年であり、その更新に数十万円のお金がかかります。
発電量が使用量を上回る時には余剰電力を売り、下回る時には電力会社から電気を買います。
これを連携運転と言いますが、電力会社の電気が止まるような非常時には自立運転に切り替えて(自動切換えの場合と手動切替の場合があります)1500W程度まで専用コンセントで使える事が多いです(日本の法律上1500Wまでと決まっています)。
自立運転時に使える電気は出力が不安定なため、コンピューターをはじめ精密機器を繋ぐと誤作動を起こして故障の原因となります。
何かの充電や単純な電気器具を繋ぐだけにしましょう。
リスクのある節電機器の為、保証期間内の故障で発電が停止しても売電金額やそれに対する保証は一切ありませんし、保証期間外でも同様です(結構揉めるところです)。
特に屋根貸し(屋根を貸して無償で太陽光システム取付)は所有権が業者にあるため、発電していない事に対する保証は一切ありません。
そんなところでしょうか。

それでは付けたほうが良い理由を見ていきます。
・屋根貸しという契約が存在する。
・岩手県について、「特に沿岸地域は」日射量が全国の中でも多い。
・内陸も雪が落ちれば発電効率は高い。
この3点だけで取付を推奨する理由は十分です。
「屋根貸し」というのは、太陽光発電システムや蓄電池を無償で取付、期間(10年のところが多い)を定めて売電したお金は取付業者の取り分という契約です。
日中使用した発電分は家庭でも使えます(たまに全量売電の場合もあり)し10年経過後はその家庭に所有権が移るため、新築時にお金がない方にはメリットが多いです。
しかし、家電製品の寿命は約10年。
10年を超えたパワーコンディショナーは更新の時期を迎えます。
蓄電池も同様ですね。
でもパネルはそれなりの発電効率(もちろん経年劣化で下がってはいます)を保っていますので、一部機器を交換すればさらに使えるのが良い所です。
お金のかかる時期を10年後に回すという金融の考え方でもあります。
ではこれで無償取付した業者は潤っているのでしょうか・・・?
もちろん、儲けが無いとやっていけませんから儲かるんです!
電力契約をここにしてくれとか、建材はこのメーカーを使ってくれとか色々と制限があります。
それで儲けているのもありますが、太陽光発電システムの設置だけでも少々は儲かるんですね!
その制限さえ納得してしまえば屋根貸しも「あり」ですね!
でもでもですね・・・
自前で取付できれば、色々と自由がある上に業者の儲かる部分を手中に収める事が出来るので、実際に住み始めてからのメリットが大きいです。
「住宅ローンの追加分」<「儲かる分」+「節電の分」となるのであれば、住宅ローンを多少多めに借りて、初めから導入したほうが良いでしょう。
岩手県では奥羽山脈があるおかげで冬期の日射量が多く、夏は暑い時期が少ないため太陽光発電システムを導入するのには理想的です(特に沿岸地域)。
さらに良くも悪くも田舎なので、隣の家との間隔も大きく日射を遮るものも少ないです。
よくパネルの「産廃」について心配する方もいらっしゃいますが、それはメガソーラーに関する事がほとんどであり、家庭用のパネルの交換は数十年に1回ですし、そのまま載せたままでも良いです。
パネルの廃棄が近くなる時期には、恐らくリサイクルの方法も確立されていることでしょう。
あ、あとパネルを屋根に載せる際には限界まで載せて下さいね!
3kw程度では恩恵が少なすぎます。
出来れば9kw~10kwくらいは欲しいです。

デメリットもそれなりにあります。
・維持管理にお金がかかる
・雪が落ちる
・10年後の売電価格が安い
維持管理にお金がかかるのは仕方が無いことです。
太陽光発電システムではパワーコンディショナーの交換がメインです。
どんな電気機器よりも稼働している時間が長いので当然と言えば当然でしょう。
その分も含めて導入を検討されると良いです。
雪が落ちるのも仕方が無いことです。
というより、それを考慮した設計にするのが住宅会社の役目。
それをしていないという事は・・・同業者として敢えて言いませんがご理解下さい。。
10年後の売電価格については、売ることを前提とせずに自家消費に回すと良いでしょう。パワーコンディショナーの交換時期でもありますし、自家消費型へ交換しましょう。
蓄電池もあると嬉しいですね!
太陽の出ている時間帯に生活を合わせるのも、電気代も心身とも健康的で良いです。
ヒートポンプ給湯機の湯沸かし時間が昼間になるように、12時間程度ずらして時刻設定を変更して使用すると良いですよ!
たくさん太陽光発電システムについてみてきましたが、具体的な数値はその地域や立地条件、使う建材などにより大きく変わってきます。
自分で判断できない場合には、住宅会社に相談して頂くと良いと思います。
屋根貸し業者が喜んで付けたいのであれば、ぜひ付けてみて下さい!
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